病院の紹介

Introducing the hospital

臨床研究[ Clinical research ]

臨床研究センター

淡路島は、日本の離島の中では最大人口を誇る、大きな島です。一方で、離島にもかかわらず都会へのアクセスは短時間で可能であり、生活状況や受けられる医療内容はほぼ都会とも変わらないという、非常に特殊な、日本でオンリー・ワンの環境です。島内で循環器専門医が常在する病院は当院のみであり、島内で発生した急性冠症候群は100%、心不全に関しては7割の患者は当院搬送となります。また、2019年の淡路島の高齢化率は37.5%と、日本の20年先をいく人口構成となっています。 つまり、淡路島は「小さな未来の日本」ととらえることができます。

この特殊環境は疫学研究を行うには非常に好ましく、2018年度より当院では大規模な循環器疫学研究に行っています。本院から導き出されるデータが、未来における日本の循環器医療の道しるべとなることを目指しています。本センターでは、研究の最前線に立ち、患者と医師をつなぎ、研究を円滑に行う役割を担っています。

理念

実臨床から浮かんだ疑問をもとに研究計画を立案し、そこから導かれた新たな知見を世界に発信し、次の患者のより良き治療へつなげることが臨床医として必要な姿勢であると考えています。

①日々の臨床を続けながら、臨床で生まれたリサーチクエスチョンを検討する。
②我々が行う治療が患者の益になっているのか、常に振り返って見直す。
③振り返りの中で改善・対策が必要な事象をあぶりだし、どのような介入が有効なのかを検証する。

これらを繰り返しにより、現在まで日本の医療レベルは高まってきました。しかし、正しい検証を行うには、正確性の高い豊富なデータが必要です。この、信頼性の高い“ハイクオリティーなデータ“を集めるのが、臨床研究センタースタッフの主な仕事です。
現在行われている研究を以下に示します。

KUNIUMI Registry ~Acute cohort~

淡路島内での急性心不全を対象とした後ろ向きレジストリー研究です。淡路島内すべての一般病床有床施設にご協力いただき、島内で発生したほぼすべての急性心不全患者を登録しています。

本研究は、過去日本で行われた急性心不全レジストリーの中で最も悉皆性の高いレジストリー研究の一つと考えています。本研究から正確な急性心不全発症数を導き出し、それをもとに日本全体の予測心不全発症数などを算出しています。

On goingの研究で、2013年から1800例以上の症例が登録されています。

KUNIUMI Registry ~Chronic cohort~

淡路島内での慢性心不全を対象とした前向きレジストリー研究です。当院循環器内科にかかったすべての慢性心不全患者にお声掛けし、同意を取得の上1年ごとに患者の状態を追跡する研究です。病院主体の研究であり、追跡は半永久的に行う予定としています。

世界でもっとも有名な循環器疫学研究ではFramingham研究があり、日本でもっとも有名な疫学研究には久山町研究という研究があります。どちらも現在の医療には欠かせない情報を提供した、唯一無二の研究です。我々のKUNIUMI Registryも、「日本の循環器病の久山町研究」を目指し、神戸大学循環器内科、国立循環器病研究センター疫学部門に協力いただき、研究を進めています。

2019年3月から現在まで(2023年5月31日)、すでに2430人以上の患者にご協力いただいております。淡路の総人口からすると1%強、65歳以上に限れば全体の7%強の島民が参加している、まさに地域密着型研究です。